小さい頃から、体力も根性も気力も筋力も、すべて人の3分の1であった。
「どうせ、陽子ちゃんはできない」
そう言われ続け、私はその言葉を信じたまま大人になった。
そして気がつけば、53歳になっていた。
人は「あなたは出来ない」「あなたは頭が良くない」と言われ続けると、本当にそうなってしまう。
その場所にいる方が楽だからである。
「私は苦手だ」「出来ない」
そう言っていれば、やらなくていい。
それはある意味、とても楽な生き方である。
しかし、夫だけは違った。
出会った時から一度も、私をバカにしたことがない。
「陽子ちゃんは頭がいい」
「あれだけ話せて、人を笑わせて、納得させられることは誰にでも出来ることではない」
「出来ないことは、やらなかったことなだけだ」
そう言って、私の“言い訳”を静かに崩してきた人である。
そして2026年。
帰国してから、私たち夫婦はスポーツジムに通い始めた。
どうせ続かない。
周りも、そして自分自身もそう思っていた。
しかし、夫はそこも見越していたのだろう。
私にパーソナルトレーナーをつけたのである。
自慢ではないが、私は非常に真面目である。
大人数の中ではいくらでもサボれるが、マンツーマンになると逃げられない。
初回、トレーナーに言われた言葉はこうだ。
「伸び代しかありませんね」
つまり、何も出来ないということである。
この体でよくここまで生きてきたと、自分でも驚いた。
そこから、ほぼ毎日ジムに通っている。
筋トレは1日おき。
有酸素運動は毎日。
カロリー計算も行い、プロテインまで飲んでいる。
しかし、私は“筋肉の記憶”を持たない人間である。
過去に筋肉があった人は戻りやすいと言われるが、私はゼロからのスタートである。
だからどれだけやっても、どれだけ筋肉痛になっても、なかなか数値が上がらなかった。
正直、苛立ちもあった。
それでも続けて3ヶ月。
ようやく、少しずつ変化が見えてきた。
よく眠れるようになった。
ネガティブになりにくくなった。
体が軽くなった。
服のサイズも変わってきた。
私の仕事は、どれだけ努力しても結果が出ないことがある。
お客様に「でも」「だって」「出来ない」と言われれば、やはり心は揺れる。
これは何年やっても慣れるものではない。
しかし、自分自身に対しての努力は違う。
やった分だけ、必ず何かが返ってくる。
体は嘘をつかないのである。
自分の体に目に見える変化が起きること。
それは想像以上に、幸福度を上げてくれるものだった。
2025年は「旅の1年」であった。
1年の半分を海外で過ごした。
そして2026年は「健康に向き合う年」である。
夏にはミニスカートを履く予定だ。
息子には反対されそうだが、それもまた一興である。
何もしない1年があってもいい。
しかし私は、それがどうも苦手な人間である。
だから今年は、今この瞬間に熱中している「運動」に全力で向き合う。
「どうせ出来ない」という言葉に、もう従う必要はない。
その魔力を解くことができるのは、自分自身だけである。
セレナ
